高橋治希《滝雨園・斎》
滝と水しぶき、もしくは雨、そして斎(心を鎮める場、勉学する場)を一つの環境として一体的に考えてみる。
自身をある環境に合わせるのではなく、自身と記憶を含めた環境が一体になりながら、それでも最低限家(斎)として成り立つ様を、波板に対する造形的興味をもちながら探求した。
波板はその縦の方向性に特徴があるが、素材によって、不透明であったり半透明であったり、反射をもたらしたり、同じ形体でありながら多彩な表現性をはらんでいる。その波板の真ん中に、陶磁器とガラスで作った波板を連ねて滝を造形した。
また、滝の周囲にはガラスで作られた水しぶき、もしくは雨とも受け取れる水の様態をガラスで造形しているが、目をこらすと鳥、蝶、浮かしている蛹の姿等、浮遊と変容の世界が描かれている。
家(斎)でありながら、膜に包み込まれるような感覚と水の動きや変容に移り行く生命の在り方を重ねて、一つの庭園のように心情を重ね合わせる場を表現した。