《高瀬川庭園》

《高瀬川庭園》2017 北アルプス国際芸術祭、長野
透光性磁器、黒玉砂利等

 日本庭園の構成手法である、「自然環境のミニチュア化」と「水墨画における三遠の法(見上げる高遠、奥行きを作る深遠、見下げつつ広がりのある平遠)」の空間の見方を組み合わせて、建物内を一つの回遊式庭園と見立てた作品。 
 大町市の南西部、槍ヶ岳、樅沢岳周辺を水源とし、大町市に注ぎ込む「高瀬川」流域に自生する植物を高度ごとに計31種類を磁器で表現することで、川全体を下流から上流に鑑賞者は歩いて作品を体験する。

●高山帯
イワギキョウ
●高山帯〜亜高山帯
ミヤマトリカブトハクサンコザクラクルマユリミヤマムラサキ
●亜高山帯
カニコウモリ
●亜高山帯〜山地帯
イチョウランリュウキンカシラネアオイオオバキボウシミヤマワレモコウコミヤマカタバミ、イブキトラノオ、ムラサキヤシオツツジ
●山地帯
サワアジサイ
●里山
ナツズイセン、タチツボスミレ
●平地
アサガオヒルガオクズドクダミキンランツルマメヒメジョオン、シロヨメナ、カタバミワレモコウカラスノエンドウ、オオバコ、オヒシバ、ツユクサ

下流域では遠くに槍ヶ岳(川を渦状に表現)を見上げ、中流域では近くに山頂を見て、押入れのトンネル(中国における洞天思想)を抜けると頂上世界の高山植物に包まれる。
最後に5段の階段をくぐって降りて下界に戻る。